静岡県富士宮市、富士山の麓にあるパワースポット、山宮浅間神社(やまみやせんげんじんじゃ)。富士山を御神体とし、富士山を拝むために誕生した、富士山信仰のための神社です。山宮浅間神社には、本来神社境内にあるはずの本殿が存在せず、御神体である富士山を拝むための「遥拝所」が設けられたちょっと珍しい神社。特別大きな神社という場所ではないので、神聖な雰囲気の中静かに参拝したい方におすすめのパワースポットです。
山宮浅間神社ってどんなところ?
山宮浅間神社は、静岡県富士宮市山宮にある神社。全国にある浅間神社の一つであり、同じ富士宮市内にある富士山本宮浅間大社の元宮・元摂社です。また、富士山の構成資産の一部として世界文化遺産に登録されています。
正確な年代は不明とされていますが、社伝によると、806年に山宮浅間神社の地から富士山本宮浅間大社の位置に遷座したとあるため、それ以前に創建されたものと考えられています。
富士山を御神体とする神社で、本殿に該当する建物がなく、代わりに遥拝所が設けられているちょっと珍しい神社です。遥拝所には富士山に向かう形で祭壇があり、神事などはここで執り行われていました。
山宮浅間神社には「山宮御神幸」と呼ばれる神事があり、これは浅間大社と山宮浅間神社を往復し、古地へ神様を里帰りさせるためのものです。この神事は1873年まで行われていたもので、境内にはその際に用いられた鉾を休めるための石「鉾立石」が残されています。
富士山本宮浅間大社や国内に点在する浅間神社と同じく、木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと)を御祭神とした神社で、子宝・安産のご利益があるとされています。
市内中心部からは少し離れた郊外に鎮座する、緑と静けさに包まれたパワースポットです。
山宮浅間神社でお詣りしよう!
富士宮市の神社といえば、全国的にも有名な浅間神社の総本社・富士山本宮浅間大社を思い浮かべる方も多いと思いますが、今回ご紹介する山宮浅間神社も富士山本宮浅間大社と関わりの深い、由緒も歴史もあるすごい神社なんです!
市内中心部や富士山本宮浅間大社からは少し距離がありますが、自然に囲まれた静かな雰囲気の境内には見どころ多数! 上でも少しだけ触れましたが、ほかの神社では味わうことができない“ちょっと変わった体験”もできるパワースポットです。
富士山の麓にある神社
山宮浅間神社は、富士宮市内を走る県道180号富士宮富士公園線沿いにある神社です。実はこの県道、先ほどから何度も登場している浅間神社の総本社・富士山本宮浅間大社の前を通る道路であり、北上し続けると富士山五合目に行きつく道なんです。つまりこの県道は、富士山を御神体とする浅間神社の総本社・富士山本宮浅間大社とその元宮・山宮である山宮浅間神社、そして富士山を一本で繋ぐ道ということになります。
市内中心部から県道180号を北上していくと山宮浅間神社への案内板、駐車場が見えてきます。この辺りは富士山の麓に該当する坂道の多いエリアで、県道180号は富士山周遊道路・富士山スカイラインの一部でもある道路です。
山宮浅間神社を“富士山に鎮座する神社”と捉える方もいるようですが、そもそも富士山がどこからどこまで?というちょっと難しい話になってきますので、今回は“富士山の麓にある神社”としてご紹介させていただきます。
駐車場は無料で利用でき、収容台数は10台ほど。整備されたきれいな駐車場です。案内所も併設されており御朱印はこちらでいただけますが、開館時間は土日祝日の9:00~16:00のみとなっていますのでご注意を。時間外に訪れた場合でも、書置きの御朱印は境内でいただくことができますのでご心配なく。
駐車場から数メートルのところに鳥居があり、そこから境内へ進むこともできますが、実はそちらの鳥居は二の鳥居。一の鳥居はそこから少し南下した場所にあります。
静寂に包まれた“富士山のため”の境内
駐車場に車を駐め、せっかくなので一の鳥居から境内へ進んで行きます。
山宮浅間神社は歴史ある古い神社ですが、境内設備が整えられたのは実は昭和初期頃なんだとか。鳥居が建てられたのもその頃のようで、神社の歴史と比べるとまだまだ新しい印象です。
鳥居をくぐるとたくさんの灯籠がお出迎え! 木々に囲まれた参道には無数の石灯籠が並んでいます。灯籠の横を歩くだけでなぜか神秘的な気持ちになるんですよね。不思議です。
参道を進むと二の鳥居が見えてきます。駐車場から近いのはこちらの鳥居ですね。私はせっかくだからというのと、写真を撮りたかったという理由で一の鳥居から入りましたが、二の鳥居から境内に進んでも問題ありません。
二の鳥居をくぐるとまた大量の灯籠! 参道に並ぶ灯籠、うっすらと生えた苔、大きな杉が趣きを感じさせます。数メートル横を県道が走っているとは思えない、神聖で澄んだ空気が流れる場所です。
参道の先にあるのは拝殿……ではなく籠屋。神事の際、神職の方たちが一定期間こもり祈願した場所と伝えられていますが、現在でも詳しいことはわかっていない謎多き建造物のようです。ちなみに、読み方は「かごや」ではなく「こもりや」。神社仏閣で使われている漢字や読み方ってなんでこんなに難しいんでしょうね。私、初見ではだいたい読めていません。
左側には手水舎があります。こちらに書かれている通り、御鎮座1900年を記念して造られた手水舎なんでしょうね。長い歴史を物語っています。
手水舎で心身を清めたら籠屋で参拝です。何度かご紹介している通り、山宮浅間神社には本殿も拝殿もありませんので、手を合わせるのは籠屋へ。お賽銭箱もちゃんとあります。
参拝を済ませたらお賽銭箱の後ろ側に回ってみましょう。こちらに書置き型の御朱印が置かれています。駐車場にある案内所が閉まっている場合はこちらで御朱印をいただけますので、開館時間外に訪れた方はこちらへ。
籠屋を抜けると参道はさらに奥まで続いています。参道の真ん中にある石が気になりますね……。
参道の中央にあるこちらの大きな石は「鉾立石(ほこたていし)」といって、「山宮御神幸(やまみやごしんこう)」と呼ばれる神事の際に用いられた鉾を休めるための石です。籠屋を越えてすぐと石段手前の二か所にあります。
参道の中央というなんとも不自然な位置にある石なので、何か特別なものだということはなんとなく察することができましたが、知っていないとスルーしてしまいそうな見どころです。特に石段手前にある鉾立石は、長い年月の間にかなり風化し崩れてしまっています。いつかなくなってしまうんじゃないかと、ちょっと心配になりますね……。
石段を上るといよいよ山宮浅間神社最奥に到着です。神社最奥には玉垣で囲まれた一角……。
そうです、ここが山宮浅間神社の「遥拝所」。御神体である富士山を拝み、祭儀を行うために設けられた場所です。現在でも当時のままの石列が残されており、祭壇の位置や祭儀の際に参列する社人や僧侶などの配置を示しています。
本来はこの位置から正面に富士山が見えるのですが、この時は空が厚い雲に覆われており、富士山を拝むことができませんでした。遥拝所から富士山山頂までは直線距離で13kmほど。かなりの近さなんですけどね……。富士山を拝むための場所から富士山が見えないって実はかなりレアなのでは?
ちなみに、遥拝所はぐるっと一周玉垣に囲まれており、唯一の出入口である扉もしっかり施錠されているため中に入ることはできません。玉垣の外から神聖な空気を感じ取ってくださいね。
山宮浅間神社への参拝を終えて…
富士山の麓に鎮座する静寂に包まれたパワースポット・山宮浅間神社。市内中心部からは少し距離がありますが、足を延ばす価値のある素敵な空気の流れる神社でした。特別大きな神社というわけではありませんが、緑に囲まれた境内、参道に並ぶ無数の灯籠、歴史的価値のある鉾立石など、見どころ多数! 何より境内の神聖な雰囲気がすごく心地良い場所です。
「拝殿ではなく遥拝所がある」
この一文だけで興味をそそられる方もいるのでは? 私もその一人で、山宮浅間神社を訪れてみようと思うきっかけとなった一文です。神社を訪れる機会の多い方、神社好きな方なら誰もが違和感を感じる一文だと思います。少しでも興味を持ったら行ってみましょう! いろいろと納得できると思います。パワースポットって本当に奥が深い!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
こちらの記事が少しでも、皆様のお出かけ時間のお役に立てれば幸いです!
山宮浅間神社へのアクセス
公式サイト
山宮浅間神社には公式サイトがありません。詳しい情報については富士宮市公式サイト|山宮浅間神社にてご確認ください。
所在地
公共交通機関をご利用の方へ
最寄り駅はJR身延線富士宮駅、最寄りバス停は万野団地入口です。バス停から山宮浅間神社までは徒歩25分ほどかかりますので、体力に自信のない方はタクシーの利用をおすすめします。
駐車場
無料(収容台数10台ほど)
拝観料
無料
参拝可能時間・案内所開館時間
24時間参拝可能
案内所開館時間 土日祝日の9:00~16:00
その他ご不明な点、詳しい情報は富士宮市公式サイトにてご確認ください。また、こちらのブログ内でご紹介させていただいた内容は記事作成時点での情報です。必ず最新情報をお確かめの上お出かけください。